弘前の弟【弘前】

現地で地図を確かめはじめて知った。

奇しかれ、劇場と弟の家とは、目と鼻の先だった。

昼間、こっそり訪ねたところ留守だった。

ただ玄関には、懐かしい筆跡の表札がかかっている。

弟の家に間違いない。

芝居を終えてから(もちろん弟は僕の芝居を見にきた)、家に上げてもらった。

僕は翌朝には次の町に移るので、あまりゆっくりとはできない。

けれど短い時間のなかでも、仲のよい弟とは、濃密な懇談の時間の持つことができた。

とともに、この土地で大志に挑む弟の姿に胸が熱くなった。

僕も負けてはいられない。