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平成22年9月17日金曜日

閑話休題〜「アンドレイの蘇生」

ものぐさな僕は、演劇のワークショップというものに、ふだんほとんど興味がありません。

ところがこのたびは、岡のりこさんと野口絵美さんという、いつもお世話になっている劇団の二先輩に、
−いい。すごくいい。
と、しきりにそのワークショップを推されるので、重い腰を上げついに参加してきました。

「演出家・大橋也寸によるプロのための演劇ワークショップ」です。

−いい。たしかにいい。

也寸先生の人柄による明るい雰囲気もさることながら、何より嬉しかったのは、チェーホフ作品の中から好きな人物を選び演じられるということです。
もともとチェーホフ狂の僕が、大橋也寸さんというチェーホフ演出のエキスパートに手ほどきを受けられることはこの上ない喜びなのです。

さて、僕の選んだ役は「三人姉妹」のアンドレイです。
三人姉妹に挟まれておどおど暮らす愛おしきダメ人間です。

この役を選んだのには理由があります。
じつはこのアンドレイ−俳優座の研究生時代、僕が発表会で演じた役なのです。
当時19歳−人生の酸いも甘いもろくにわかっていない僕が(今でもとんとわかっちゃいませんが…)果敢に挑んだ思い出深いキャラクターなのでした。
(写真参照)

そのアンドレイに、じつに14年ぶり、33歳の僕が再び挑戦状を叩きつけました。
生きた、ということは、決してダテではないのですね。
19歳のあの頃、訳もわからないまま解ったつもりでしゃべった台詞たちが、今は千金の実感を持って僕に迫ってくるものです。
役に取り組むあいだはあたかも、アンドレイと僕、二人だけの秘密同窓会を開いているようで、いっしゅ不思議な感覚でした。
貴重でとても幸せな体験ができました。


【浜野基彦】

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