馬淵川を超え、仙台へ向かう。
ちょうど馬淵大橋をわたるあたりだった。
山下啓介氏が列車連結部の車掌席に腰を下ろし、運転士のマネを始めた。
さすが熟優、なりきりが堂にいっている。
氏の惜しみない愛嬌に腹を抱えて笑ってしまった。
ただじつは、この馬淵大橋、大好きだった友人Mが客死した場所でもある。
ほんとうは、橋をわたるおり、秘かに手でも合わせようかと思っていた。
が、山下氏の芸に涙が出るほど笑わせられているうちに、河をわたりきってしまっていた。
とはいえ、そういえば死んだMも、物静かだが滑稽を解し笑うことの大好きな男だった。
湿りけのある僕の合掌などよりは、山下氏の芸にかえってほほ笑んでいたかもしれない。
―それはそうとMよ。
せっかく八戸まで来て、僕が喜劇をやったんや。
楽しいことの好きやったお前の魂魄は、きっと劇場まで足を運んでくれたはずよね。
何十年か後、僕がそっちへ行ったとき、ぜったい感想聞かせりよ。
ちょうど馬淵大橋をわたるあたりだった。
山下啓介氏が列車連結部の車掌席に腰を下ろし、運転士のマネを始めた。
さすが熟優、なりきりが堂にいっている。
氏の惜しみない愛嬌に腹を抱えて笑ってしまった。
ただじつは、この馬淵大橋、大好きだった友人Mが客死した場所でもある。
ほんとうは、橋をわたるおり、秘かに手でも合わせようかと思っていた。
が、山下氏の芸に涙が出るほど笑わせられているうちに、河をわたりきってしまっていた。
とはいえ、そういえば死んだMも、物静かだが滑稽を解し笑うことの大好きな男だった。
湿りけのある僕の合掌などよりは、山下氏の芸にかえってほほ笑んでいたかもしれない。
―それはそうとMよ。
せっかく八戸まで来て、僕が喜劇をやったんや。
楽しいことの好きやったお前の魂魄は、きっと劇場まで足を運んでくれたはずよね。
何十年か後、僕がそっちへ行ったとき、ぜったい感想聞かせりよ。
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