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テアトル・エコーの俳優です。 どうぞよろしくお願いします。

平成21年2月25日水曜日

異教徒をさげすむ話 その1


来るゴールデンウィーク、

アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)第38回公演
「ヴェニスの商人」
~肉はきれないよ。~

に出演いたします。


さて、喜劇「ヴェニスの商人」は、その名のとおりとっても愉快なお話です。

けれども、そこを一筋縄ではゆかせないのが、シェイクスピア先生。

ただの喜劇では終わらせてくれません。


このお話のかたき役、シャイロック。

彼はユダヤ人の高利貸しです。

顛末は、僕の演じるバッサーニオが、彼に借金を申し込むことから巻き起こるのですが―


その頃、ヨーロッパの多くはキリスト教の国家でした。

物語の舞台であるヴェニスも、もちろん例にもれません。


その中でユダヤ人たちは、かたくなにユダヤ教を信奉しつづけました。

そのため彼らは、異教徒として、キリスト教徒たちからつよい差別を受けました。

高利貸しシャイロックもそんな“異教徒”の一人です。


そのうえこの物語において、彼は冷血無情のかたき役です。

とはいえ、その強すぎるほどの人間臭さが、かえって、どこか憎めない男でもあるのですけれど。


ですから、物語の中盤で彼が、

「異教徒として差別される者の、やるかたない悲しみや怒り」

をぶちまける時、見る者はこのどぎつい悪役に、言いようのない哀愁と愛着を感じてしまいます。


さて、お話はくるくると展開し、はたして物語はハッピーエンドを迎えます。

しかし、シェイクスピアがこの物語にこっそり忍ばせたスパイス

―異教徒への差別

この隠し味が、物語を味わい終えたあとも、シャイロックの個性とともに、残り香としてふわりと鼻に抜ける。


そういう仕掛けが、この「ヴェニスの商人」にはほどこされているように思えます。


【異教徒をさげすむ話 その1】おわり→【その2】へつづく


アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)第38回公演
「ヴェニスの商人」~肉は切れないよ~ 
全席自由:3800円
2009年4月25日(土)~5月3日(日・祝日)
於:遊空間がざびぃ(西荻窪)   ご案内地図

ご興味がおありの方はこのブログを通してでもかまいません。

わたくし浜野へ、ご一報いただければ幸いです。

追って、チラシなど詳しいご案内をお送りいたします。

皆さんのおこしを心よりお待ち申し上げております。

【浜野基彦】

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