そんな(人に言わせると"妙な")癖が、僕にはある。
泣きたい思いでかよった場所。
そういう、むしろ恨み深い場所にこそ、かえって愛着が芽生えてしまう。
野毛山の急な坂スタジオに足をのばしてみた。
「ヴェニスの商人」たちの誰ひとり、もうそこにはいない。
今にも稽古場の扉が開いて、谷さんや福岡くんあたりがとび出してきそうなのに。
そこにはほんとうに誰もいない。
この"空っぽ"の感じを確かめる。
そうしてはじめて、自分の手がけた一つの作品に終止符が打てた気がする。
もう今夜から、夢にシャイロックは出てこないにちがいない。
浜野基彦
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