「風と共に来たる」。
舞台第1景では小綺麗だった社長室も、話が進むにつれて、床はこのありさまです。
散らかり放題に散らかりまくっているのは、打ち損じたタイプライターの反故と、それからバナナの皮、皮、皮、皮……。
恐ろしいことに、その数は初演の倍に増量されているといいます。
ところで「床+バナナの皮」で、まず思い浮かぶのが
−ツルッとすべってスッテンコロリン
という、コミカルとはいえそれなりに危険な情景ですよね。
役者たちは大丈夫なのでしょうか。
そこはご心配なく。
甘い香りが今にも鼻を突きそうなこのバナナの皮たちは、実は精巧にできた作り物なのです。
踏もうが蹴ろうが「ヌル」とも「ツル」ともこぼさない、見かけにくらべとても頑丈な連中なのです。
むしろほんとうにすべって危険なのは、折り重なった大量のタイプ用紙群の方でした。
安定しない足場です。
しかし、俳優たちはあえてその危険を逆手にとりユーモアに産み換えてゆく−欲張りです。
彼らがあみ出した華麗な"紙スライディング"や"紙スケート"、はては"紙ダイビング"、そんな根性ワザにもご注目ください。
あ!もちろん芝居そのものは"スベリ"知らずです。
この点は、どうぞご安心して劇場へおいでくださいますように。
みなさまのお越しをお待ち申し上げております。
【浜野基彦】
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