Fool on the 筑紫丘~虹ヶ丘~桜ケ丘

自分の写真
テアトル・エコーの俳優です。 どうぞよろしくお願いします。

平成21年2月26日木曜日

異教徒をさげすむ話 その3


来るゴールデンウィーク、

アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)第38回公演

「ヴェニスの商人」
~肉はきれないよ。~

に出演いたします。


「ヴェニスの商人」がシェイクスピアの手で執筆されたのは、16世紀後半です。

その頃、日本は戦国時代でした。

年表で確かめたところ、こんな事件が目に留まり、息をのみました。


【キリシタン弾圧で初の殉教者】~長崎で宣教師・信者26人が磔に~



この頃の最高権力者は、豊臣秀吉です。

彼はこの年の中頃までは、キリスト教に理解を示していました。

しかし一見穏やかに見える、宣教師たちの布教活動には、実は別の目的も含まれていました。

それは、アジア諸国の植民地化です。

スペインなどヨーロッパの国々は、キリスト教の布教を通じ、至るところを植民地に変え、領土の拡大をはかっていたのです。

この「侵略の大陰謀」(すくなくとも秀吉はそうとった)を知った日本政府は色を失います。

しかし、そこは良くも悪くも「行動の人」秀吉です。

抜く手も見せず、危険な“異教徒”であるキリシタンの大弾圧に乗り出しました。

そうして起こったのが、1596年の長崎の悲劇というわけです。


しかし、ヨーロッパ諸国の“政策”はともかくとして、処刑されたキリシタンたちに、日本侵略の腹があったとはとうてい思えません。

彼らはただひたすらにイエスの教えを信じ、心の安らぎを願いつづけただけに違いないのです。


秀吉、あまりといえばあまりの勇み足。

この頃から彼は、立て続けに“勇み足”を踏みまくり、間もなく精も根も尽き果て、抜け殻のようになって死んでゆくのですが―それはまた別のお話。


「ヴェニスの商人」が、16世紀末のベネツィアのお話であるとするならば―

くしくも同じ国際貿易港・ヴェニスと長崎で、同じ時代に起こった“異教徒”へのむごたらしい仕打ち。


もちろん、それぞれの背景や要因は異なります。

ただ、この、歴史のおかしな符合に、日本史狂の僕はシェイクスピアを読みながらも、ひとり唸ってしまうのでした。




アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)第38回公演
「ヴェニスの商人」~肉は切れないよ~ 
全席自由:3800円
2009年4月25日(土)~5月3日(日・祝日)
於:遊空間がざびぃ(西荻窪)   ご案内地図

ご興味がおありの方はこのブログを通してでもかまいません。

わたくし浜野へ、ご一報いただければ幸いです。

追って、チラシなど詳しいご案内をお送りいたします。

皆さんのおこしを心よりお待ち申し上げております。

【浜野基彦】

0 件のコメント: