Fool on the 筑紫丘~虹ヶ丘~桜ケ丘

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テアトル・エコーの俳優です。 どうぞよろしくお願いします。

平成21年8月7日金曜日

劇団の研修生③


(そのまたつづき)


―とはいえ、残酷な世界だ。

しょせん我々は技術屋である。

印象が澄んでいるだけでは足りない、腕がなければこの仕事はつとまらない。

だから研修期間が終わり、その腕を見込まれなかった者は無情にも劇団を追われてしまう。


けれども、ひたむきさや清潔な魂を最後まで失わなかった子は、かならず報われる。

僕はそう信じている。

その個性に誇りを持ち、やるべきことを一つ一つこなしてゆきさえすれば、ある程度のところまでならおのずと腕はあがるものだ。

じつはその簡単な仕組みを貫き通すことこそが、思いのほか難しいのだけれど。


―高潔な魂を保ち続けられるか、

「レッスン」や「授業」という名を借りてそれを試されているのが、俳優の(すくなくともテアトル・エコーの)研修期間なのかもしれない。


なぜって、今ではかけがえのない同僚であり友であるFやG。

彼らもやはり、研修生の頃から今に至るまで、ひたむきさや清潔感では誰にも負けていなかったもの。

(と、その頃のことをしみじみと連中に話しても、当人たちはまったく記憶にないという顔をする―照れてるのか?)


(つづく)



【浜野基彦】

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